2019年 09月 26日
朝夕はめっきり涼しくなり、秋になりましたね。朝方寒くて起きることがあります。 さて本日はアトピー性皮膚炎における新しい治療法についてのお話です。 アトピー性皮膚炎において初めて注射薬による治療法がでました。発売自体は2018年でしたが、当初は開業医では使いにくい製剤でした。2019年4月より自己注射ができるようになったため、開業医でもだいぶ使いやすい薬剤となりました。 ○デュピクセント ![]() この薬剤はいわゆる生物学的製剤で、IL-4(インターロイキン-4)、IL-13(インターロイキン-13)を阻害する薬剤です。 アトピー性皮膚炎の患者さんの皮膚ではTh2細胞という免疫細胞が増殖しております。このTh2細胞はIL-4やIL-13というサイトカイン(細胞から出す物質)を産生し、その結果、皮疹が悪化、痒みが増悪します。デュピクセントはこのサイトカインを選択的に阻害することによって皮疹、痒みを良くする薬剤です(図)。 ![]() 誰でも投与できるわけではありません。 今までの治療法では十分な効果が得られない15歳以上のアトピー性皮膚炎の方が適応になります。 投与方法 2週間に1回皮下注射をすることになります。初めの1回目は2本注射を致します。 ![]() 注意点 喘息がある患者さん デュピクセントは気管支喘息にも適応があります。投与中は喘息も軽快します。自然軽快と勘違いしてしまい喘息治療を中断してしまうと、もしデュピクセントを投与間隔の延長などした場合、発作が起きる可能性があるため、注意してください(喘息にだいぶ効果があるようです)。 あと原因は良く分かりませんが、一過性に結膜炎を併発することがあるようですが、当院ではまだ経験しておりません。 効果について これは色々と論文で報告されておりますが、効果はあります。まず痒みが先行してなくなるのが特徴的です。 価格と医療費控除について 色々と良い点が多い薬剤ですが、欠点があります。それは価格です。 デュピクセント1本:81640円 とかなり高額です。1ヶ月16万円も費用がかかり、3割負担でも4万8000円です。 ただし、この製剤だけ高額かというとそういうわけでもなく、生物学的製剤がかなり導入されている乾癬という病気で使われる薬剤は1本4万円ぐらいから40万円と高額なものがあり、生物学的製剤は作る工程がかなり難しいため、高額にならざるを得ない状況です。 そのために日本では高額療養費制度があります 既にご説明したように、自己注射が可能になったため、多くて6本(3ヶ月分)の処方ができます。 年収370万〜770万円の世帯ですと 6本処方すると、通常は 8万(1本)×6本×0.3(3割負担)=14.4万 となりますが、高額医療になりますので、自己負担金は8万2328円になります。 回数を重ねると、4万4400円まで減額されます。 ![]() 当院では既に数人治療中です。当院における独自の適応は当院で加療している患者さんで、治療していても難治で、なかなかコントロールができない方にお勧めし、投与しております。初診から投与はできませんのでご注意ください。 今後について じつはお話している様にアトピー性皮膚炎意外にも気管支喘息に適応があります。この薬剤は2つの疾患だけの適応で終わるのでしょうか? 海外での報告ですが、皮膚疾患でいいますと、円形脱毛症(全頭型)や結節性痒疹などのcase reportも報告されており、皮膚科以外では慢性副鼻腔炎でも効果があることが報告されております。 個人的には全頭型脱毛の何割から効果があるのではないか?っと思いました。 関係ありませんが、最後に 先日、草津温泉に行きました。 ![]() ![]() とてもいい温泉でした。湯畑もとっても綺麗でしたよ。 注)図は表はサノフィ株式会社から配布されているデュピクセントのパンフレットより借用
by kajihifuka
| 2019-09-26 15:04
| 検査や治療などについて
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